3500系
編成 3500+3550+3650+3600



普通|犬山行きの3500系 新安城〜宇頭にて





 りんくう常滑を出発する3527F





新安城を出発した普通|東岡崎行きと待機する6800系





3500系の運転席





3500系の車内





折りたたみ式の補助席





電光掲示板


解説

1993年6月から1996年6月まで製造された、片側3扉で全車両の座席がロングシートの4両固定編成の車両である。客室内の設備として、名鉄では特急車以外で初となる号車番号表示器とLED式案内表示器を車端部に設置した。号車番号表示は途中駅から行き先が分かれる列車に便利な機能で、案内表示器には次駅の案内などのほかその時々の速度を数字と電車をかたどったグラフで示す機能もある。ラッシュ対策のため、特に利用客が固まる乗降扉の両脇1人分ずつには座席を設けず立席スペースとし、扉間が6人掛け、中間車の車端部が4人掛けとしてある(公称座席定員は各々更に1人分ずつ多いが、その場合1人当りの幅は最低基準の400mmとなる)。しかし実質座席定員が少ないとの指摘を受け、1996年配備の4次車からは1両につき8ヵ所に1人用の補助席を追加した(初期製造車の一部にも設置されている。後述)。また、運転席背後には当初から座席を設けず車椅子スペースとしている。34編成136両が在籍する。
デビュー当時、赤い車体に乗降口扉の上半分が灰色に塗られていたが、2000年以後、他の部分と同じ赤色に塗り直された。これは3700・3100系も同じである。また座席のモケットは2種類ある(オリジナルの名残りである紫系と、6000系列で先に採用されていた茶系)。
車体は6500系の6518編成以降をベースとするが、先頭車には電気指令式ブレーキを意味する「ECB」(Electric Command Brake)のプレートが取り付けられ、また正面下部にはスカート(排障器)を設置した。また、正面上部への車両番号表示が本形式により久方ぶりに復活した。正面の車両番号表示は、名鉄における完全新製車では1954年以来、車体更新車でも1966年以来行われていなかった。
主電動機、主制御器ともに最初は東洋電機製のみであったが、増備車では主電動機に三菱電機製、主制御器に東芝製と三菱電機製が加わった。かご型の誘導電動機は回転子の構造が単純なため、短時間の過負荷による温度上昇に強く、定格出力は170kWだが短時間ならば実効出力で250kW以上を発揮できる。また許容回転数も高い。この高出力な電動機によって、通勤車ながらも高速性能が大幅に向上し、就役当初から本線の優等列車で120km/h運転を実施した。最新の特急車2000系でさえ、搭載モーターや基本的な走行性能はこの3500系をベースとしている。
総数136両は名鉄では6000系に次ぐ2位だが、それを僅か4年間で投入しており新造ペースに関しては現有車両の中で断然1位である。

製造年次による相違点

1991年より犬山線などに暫定的に投入されていた100系200番台が本来の使用目的である地下鉄鶴舞線への直通運用に充当されることになったため、その代替用として1993年6月〜7月に4編成16両が製造された。
このグループのみ6000系などと同じ従来型の列車無線アンテナを装備する。なお、3500系の全体定員は座席を切り詰めたことにより100系(4両編成時代540名)よりも僅かに多くなっている。3500系の1次車は回生ブレーキ・空気ブレーキ共に効きが悪く、乗務員からは不評である。
1994年3月〜4月に7編成28両が製造された。1次車と基本的に同じ仕様であるが、このグループより列車無線アンテナの形状が変わり以後の新造車両ではこのタイプのものが採用されている。
3509Fの岐阜方先頭車のク3609は1995年9月より試験的に折り畳み式補助椅子を設置し翌年の増備車で採用された他、1997年には3509Fの他の3両と3508Fにも設置された。また、3509Fは2000年に当系列としては最初に英字併記方向幕に交換された。
1995年4月に3512F〜3517F、6月に3518F〜3521Fの計10編成40両が製造された。このうち3517Fまでは2次車までと同様、制御装置、主電動機ともに東洋電機製のものを装備するが、3518Fと3519Fは制御装置に東芝製、主電動機に三菱製のものを、3520Fと3521Fは制御装置、主電動機ともに三菱製のものが新たに採用され、変調音が少々変化しているほか、1995年以降からの東洋電機製造のVVVF装置などの電装品には、会社名を表すTDK刻印ロゴから、プレート式のものに変更となった。
この増備で、御嵩や森上など支線にも顔を出すようになった。因みに1995年の新製車両は本系列のみでクロスシート車の新製が皆無という、名鉄にしては珍しい年となった。
1996年2月に6編成24両が製造された。ク3609でテストされていた折り畳み式補助椅子が本格採用され、各車両に8名分ずつ設置された。またドアチャイムが設置され、以後の新造車で標準装備となった他、6000系などの一部の車両にも改造で取り付けられた。更には冷房装置を低騒音型のものに、SIVをGTO方式からIGBT方式のものに変更した。
室内では天井中央部の高さが僅か1cmだが高くなった。なお、全編成とも制御装置、主電動機ともに東洋製である。
1996年4月に8編成32両が製造された。1997年からの新製は下記の3700系となるため、これが最終型である。
基本的に4次車と同じ仕様であるが、このうちの3529F〜3532Fでは制御装置に東芝製、主電動機に三菱製のものを、3533Fと3534Fでは制御装置・主電動機ともに三菱製のものを装備する。3534Fの豊橋方2両は落成時から1ヶ月ほどの間、モノリンク式ボルスタレス台車が試用されていた。2008年1月時点ではク3534のみこの台車を装着している。
上記4次車とこの5次車の増備により、6000系の5〜8次車の中間車のみ12両の瀬戸線転属HL車全廃・旧800形引退・7300系の一部廃車といった動きがあり、名鉄の1500V線区での冷房化率は100%となった(ただし、各務原線の田神駅〜新岐阜駅(現在の名鉄岐阜駅)間に当時乗り入れていた美濃町線電車は除く)
さらに、6000系の豊橋駅への定期乗り入れ運用が消滅した(後の1998年4月11日〜1999年5月9日の土休日の夕方の1往復に限り定期乗り入れが復活したことはある)。
この増備をもって3500系の製造は終了し、1997年からの新製は下記の3700系となった。


管理人の評価

項目 評価
デザイン ★★★★☆
車内 ★★★☆☆
乗り心地 ★★★☆☆
総合ランク B



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